東日本大震災の記録

東日本大震災の記録 page 124/178

電子ブックを開く

このページは 東日本大震災の記録 の電子ブックに掲載されている124ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
東日本大震災の記録

~お礼の手紙~頂いたお菓子に手紙が同封されていました3月23日優先給油許可書受付中に、20代女性が笑顔で受付に来て「この間は、大変ありがとうございました。」とぺこりと頭を下げました。その女性は、二、三日前に泣きながら飛び込んできて、「山形のお母さんが、危篤で急いで行きたいのですが、車の油が無いので行けないのです。」顔を涙でクシャクシャにしてお願いされました。急いで行くようにと許可書を渡してやりました。しばらくすると、泣きながら戻って来て、「スタンドが閉まっていて入れられませんでした。お母さんに会いにいけない…」と言ってその場に泣き崩れてしまいました。仙台市の出光がやっているらしいから、仙台市経由で山形に向かい行ける所まで行ってみたらと諭したところ「ハイ、行ってみます…」と山形に向かいました。その後、許可申請受付業務が忙しく、すっかり忘れていました…。目を輝かせイキイキとした笑顔で、目の前に立っている女性は、別人かと思うほどでした。お母さんに会えたのですかとたずねると、クリッと大きな瞳を輝かせて、「車が行く途中で油が無くなってしまい動けなくなってしまったのですが、親戚の人達に油を届けてもらいお母さんのところに行けました。死に目に会えなかったのですが、お母さんの顔を見ることができ、お蔭様で心の整理ができました。あの時はご面倒をおかけしました。皆様も大変でしょうが頑張って下さい。ありがとうございました。」と言って、お菓子と手紙を置いて行かれました。同僚の阿部さんと顔を見合わせ心でうれし泣きいたしました。今までの苦労が、この一言で報われました。また復興に頑張りましょうと、阿部さんと二人、話しながら目が涙で一杯でした。多賀城市総務部交通防災課防災専門員児玉政昭東日本大震災の記録124