震災復興業務に係る手記

復興支援業務を体験して

岐阜県可児市

安藤 重則さん

 私は自治体の技術職員として平成25年10月より半年間の短い期間ではありますが、多賀城市の東北大震災の復興支援業務に携わりました。

 初めて多賀城市に訪れ、その被災地を目の当たりにして津波の恐ろしさ、またその破壊的なエネルギーの凄さに唯々立ちすくむばかりでした。私が勤務する岐阜県は、海に隣接していない内陸県で津波に対する被害は想定されることはなく、それに対する防災意識はありませんでした。今後体験することはない事象でありますが、多賀城市で経験した災害復旧の考え方等は大変多くのことを学ぶことができ、今後の業務に活かせる大変貴重な経験をさせていただいたと考えております。

 我々の住む東海地区は、明日にも南海トラフ地震が発生する危険性が高い地域であると言われており、特に隣接する愛知県は宮城県と同様に大規模な津波による被害が想定される区域もあります。有事の際は比較的安全であるとされる内陸部の我々自治体は、まずは勤務する自治体の災害復旧に全力を傾注する一方で、その区域への物流等の支援体制を整えることが重要な地域になると考えます。今後、多賀城市で学んだ体験を活かし、また多賀城市民のために働く方々の復興に対する熱意を私も胸に防災・減災に取り組んでいきたいと考えております。

 多賀城市は震災後10年が経過して、私が勤務した時期に比べ大きく復興が進んでいることを確認いたしました。しかしながら未だ被災された多くの方々が不自由な生活を強いられていることも一部報道で伝えられております。まだ道半ばであろうかと思いますが、今後の多賀城市の発展を心から祈念しております。