震災復興業務に係る手記

再建にむけた新たなコミュニティづくり

神奈川県大和市

河村 章太さん

 私は、平成28年4月から平成29年3月まで1年間多賀城市都市計画課総務企画係に配属され、主に災害公営住宅に関する事務を担当しました。

 派遣当時、計画されていた災害公営住宅4棟のうち、3棟はすでに入居が完了しており、入居後のフォローや自治会を中心としたコミュニティづくりを支援することなどが主な仕事でした。

 災害公営住宅では、自治会を中心とした新たなコミュニティづくりが求められておりましたが、様々な地域から被災された方が集まっていることや、入居者の高齢化が進んでいることなどから、自治会の担い手となる人材の育成が課題となっていました。

 そのような中にあって、多賀城市には、「地域支援員」という被災地の地域活動をサポートする制度が導入されており、入居者と市が災害公営住宅内の自治会運営を進める一体的な体制づくりが構築されていました。住宅ごとの自治会の状況に合わせて、「地域支援員」や市職員のみなさんが、自治会活動を支援することにより、少しずつコミュニティが成熟していく様子を肌で感じることができました。私もみなさんの熱意に後押しされながら、業務に前向きに取り組めたと感じています。

 大規模な災害が発生した場合、まずは住宅の確保が復興にむけた大きなハードルになりますが、その後には、新たなコミュニティづくりという課題に直面することと思います。コミュニティづくりは、人と人とのつながりをどのように構築していくかという正解がない取り組みであり、地域によってその状況は異なると思います。その課題を入居者だけで解決することは難しく、行政の積極的なサポートは不可欠であると感じました。

 被災地の復興業務に携わらせていただいた1年間は、私にとってたいへん貴重な経験でした。派遣期間中、多賀城市職員の方々の災害への備えについて見習う点が多々ありました。例えば、公用車の運転中には、必ずラジオを流すこと、ガソリンが50%を切った時点で給油することが徹底されており、災害から得られた貴重な教訓として、自身がこちらに戻った今でもマイルールとして心がけているところです。

 多賀城市での生活においては、職員及び市民の方に様々な面で温かいサポートをいただきたいへん感謝しております。この場を借りて、改めて感謝申し上げます。ありがとうございました。