東日本大震災から10年の節目を迎える2021年3月、「生きる力」をテーマにバリトン歌手高橋正典さんと合唱団スパーキングクワイアによるコサートが多賀城市民会館で開催される予定でした。コンサート自体は新型コロナウイルスの影響により開催を断念することとなりましたが、合唱団スパーキングクワイアが地元仙台育英学園高等学校の獅子太鼓部、書道部と連携し、「生きるチカラ」をテーマにした動画作品を制作発信するプロジェクトが行われ、2021年3月1日に動画作品「獅子奮迅」が公開されました。
このプロジェクトは、10年前を振り返るのではなく、「これからの10年をどう生きるか」に焦点を当て、10年後の2031年に向けた「生きるチカラ」を発信することをテーマとして企画されました。
動画作品の録音および録画は2020年11月に多賀城市民会館大ホールにて行われました。ミュージカル・ライオンキングより「サークルオブライフ」を合唱団が力強く歌い、獅子太鼓部の部員が迫力ある太鼓の演奏を重ね、更にその歌と演奏に合わせて書道部の部員が「獅子奮迅」の文字を気持ちを込めて書き上げました。
この動画作品はYouTubeにて公開されており、どなたでもご覧いただくことができますので、ぜひ動画作品をご覧になってください。
10月6日(日)多賀城市民会館大ホールにて、日本舞踊中川流主催の「新作和楽劇 黒白の浦島 多賀・永遠の祈り」が開催されました。
震災伝承を目的に浦島太郎の物語を再構築した和楽劇で、母を失った息子を太郎、亡くなった母を乙姫として、現実と向き合うために母から玉手箱を手渡されたという設定で創作されたものです。
舞台のフィナーレで子どもたちが踊った「奥羽綿津見盆踊(おううわたつみぼんよう)」は、盆踊りという日本文化を通して東日本大震災を風化させずに次世代へ伝え続ける事を目的に、 東北出身の日本舞踊家中川雅寛、津軽三味線奏者浅野祥、和太鼓奏者Atoa.、そして世界で活躍する和楽器奏者である吉井盛悟ら若き才能が本市に集結し、新たに創作した震災伝承の盆踊りです。
これから先の時代は時が経つごとに急速にデジタル化が進み、現実的な人と人との繋がりが薄くなっていく事を容易に予測することができます。
そんな時代だからこそ、盆踊りという古来より伝わる日本文化を通して、人の温かみのある輪(和)を作り、 東北地方の想い・願いを「ひとつなぎ」(人繋ぎ)に繋げ、東日本大震災を風化させずに千年後の未来へ伝承していきたいという思いのもと創作されました。
市内在住のフリーカメラマン宮城武雄さんが、岩手・宮城・福島3県の沿岸部37市町村を訪れ被災者1000人に取材し、震災時の証言と教訓をまとめた記録集を平成31年2月27日付けで出版しました。
記録集に掲載されている、宮城さんが2年半の歳月をかけて一人で歩いて得た証言と、生き延びるための教訓は、大変貴重なものです。
そこで本アーカイブに、多賀城市内で得られた証言について掲載させていただきたいとお願いしたところ、快く承諾いただきました。
このことを広くお知らせするため、平成31年3月8日、多賀城市役所において宮城さんと本市による合同記者発表を開催しました。
市内で得られた証言については準備が整い次第、本アーカイブ内で公開いたします。また記録集は多賀城市立図書館にも寄贈いただいているほか、市内の書店等でも発売される予定です。
なお、記者発表にあたり、東北大学災害科学国際研究所の柴山明寛准教授からコメントをいただきましたので以下にご紹介します。
証言記録集は、様々なところから出版等がされていますが、沿岸部を網羅的にまとめられたものはほとんどありません。
とても貴重な記録といえます。
東日本大震災の教訓は、地形や人口構成、地域の文化によって異なり、それをこの証言記録一冊で理解することができます。
強調されている部分だけを読むのではなく、すべてを読むことで、より深く理解することができると思います。
ぜひ様々な方に読んでいただき、今後の地震津波に対しての知識をつけて、生き抜くチカラにつなげていただければと思います。
東北大学災害科学国際研究所 柴山明寛
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